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2008年9月18日 (木)

オシム、CLを語る、2008年9月

200809オシムインタビュー、スカパー!CL番宣番組より
--CLの試合は全部見てますか?
・もちろん。特に新しいと思えるものはおもしろい。どんなビッグクラブでも新しい選手や監督が来れば変化が生まれる。そんなクラブの変革や進歩を見るのが好きだ。だからCLの試合には注目している。CLが現代サッカーの最高峰であることは疑いようのない事実。もはやW杯をも上回っている。なぜなら非常に多くのお金が大会に投じられているし、世界中の優秀な選手が集まっているからね。監督だってそうだ。歴史的に見ても、この大会から新しい戦術が生まれサッカーは進歩してきた。これほど高いレベルを維持し続けているのはCLをおいて他にはない。あらゆるスポーツイベントと比べても、これは凄いことだ。大会のために多くの人や金が動いている。そのことがこの大会をクオリティの高いものにしている。クラブにしてもサポーターのためにも、選手もなんやかんや売ることができない。池の水としてワインなんか入れられないものだ。つまりCLは池と違ってクオリティーがちゃんとしているんだ。だから日本人はCLをもっと見る必要がある

--やはり今年もイングランド勢が優勝争いの中心なんでしょうか?
・そう予想するのが一番簡単だよ。それは五輪における卓球のようなものだ。そもそも実力で上回っている中国人選手が、数でも上回っていれば、その中の誰かは決勝にたどり着くだろう。選手層の分厚いチームが4つも出ていれば勝ち残る可能性は高い。まるでイングランドのNO1をCLで争っているようなものだ。最もお金を持っているイングランドが最高のリーグを持っていることに驚きはない。それは「最もお金を投資しているところが最もいいサッカーをする」ということの証明であって、偶然なんかじゃない。でも私はイタリア勢が戻ってくることを望んでいる。これだけイングランド勢が上位を占めているのはイタリア勢が、あまりにも早く敗退しているからだ。リヨンは、ここ5,6年CLの舞台でいい試合をしてきた。そろそろ何かを成し遂げる時期かもしれない。リヨンは何かを期待できるだろう。またバイエルンは、これまで以上にお金を投資しているし、トーナメントの戦い方を知っている。上位にくる可能性は高い。そしてイタリアのクラブもかつての勢いを取り戻せば、おもしろい大会になるだろう。インテルやユベントスは最近は期待に応えられてなかったからね。
--イタリアの中ではどこに注目してますか?
・選手名だけを見ればインテルは最高のチームだ。彼らはクオリティの高い選手をどこよりも抱えている。モラッティ会長は最高の選手を買い集め、そして監督にモウリーニョを連れてきた。それはチェルシーと同じやり方だ。彼らもまず最高の選手を連れてきて、その後、モウリーニョを連れてきた。モウリーニョが成し遂げたことを知らない選手はいない。だから彼らは不平など言えないだろう。練習面や戦術面、その他、あらゆることに関してね。もちろん給料がもらえないという不平も言えない。あとはモウリーニョと共に、いい戦術プランを作る必要があるだろう。重要なのはモウリーニョと監督の関係になってくるだろう。最初で失敗を犯せば、トラブルにつながるかもしれない。以前、カペッロが言ってたことなんだが、イタリアではどんな名将であっても「監督であり続けることが難しい」と。戦術に関しては新しいものが通用しない国だ。それが本当なのかは、モウリーニョには証明してもらいたいね。セリエAの開幕でインテルはホームで引き分けだった。しかし、そううまくいくものではない。モウリーニョ本人がプレーする訳ではないからね。もしいい監督を連れてきて、すぐ優勝できるのであるならば、選手に金なんかかけず高い監督を連れてくればいいじゃないか。
--スペインの2チームについて
・シュスターは自分の考えを貫いて成功している人物だ。現役時代もそうだった。特別な選手だったよ。一般的に素晴らしい選手だった監督は、なんとかして自分の考え方を選手に伝えようとするものだ。シュスターは現役時代、芸術的なサッカーをしていたが、そんな彼の考え方が、現在のチームに反映してるんじゃないかな。そういう意味ではバルセロナも幸運かもしれない。なぜならグアルディオラの現役時代のプレースタイルが、これから若いチームにもたらされていく訳だから。彼がボールを配球して、ポゼッションを高めていく頃のね。グアルディオラはクライフ監督時代のバルセロナでプレーしていて、私は当時のトレーニングを見たことがある。チャンピオンズカップでも素晴らしいパスを出していたね。彼はクライフの絶大な影響を受けた男だ。きっとバルセロナはクライフがいた時のようなプレーをするはずだ。
・私たちの国の言葉に「弾丸が大砲の中で破裂したのなら可能だ」という言葉がある。つまりサブライズは可能だということだ。ポルトガルやトルコやギリシャ、どこのクラブでもサプライズが起こせるんだ。だから今シーズンのCLはこれまでにないほどクオリティーが高いことになるだろう。サプライズとは初出場のチームが大会をかき回すことだ。私のみたところ、それをやってくれそうなのはロシアのゼニトだ。彼らは今までCLに出ていなかったが、唯一、サプライズを起こせる力を持っている。監督はいくつかのチームをCLに導いたアドフォカートだ。さらに選手のほとんどが代表選手だ。ゼニトはそのチームを昨シーズンから維持している。多くのお金を費やして何かを成し遂げるというのはロシア人にとって挑戦なんだ。ロシアンプレミアリーグはヨーロッパでも優れたリーグの一つだ。長い間は、そこまでではなかったんだが、今は非常にいいプレーをしているし、あそこでプレーするのは簡単ではない。イングランドやイタリアのような他のヨーロッパのリーグに匹敵するだろう。ロシアはいつもいいプレーをしている。それは偶然ではない。かつては今ほどお金が投資されなかったにも関わらず。それが今では莫大な資金を投資され、本物のプロフェッショナルになったんだ。全てにおいて完璧に物事を進めている。そしてサッカーが進歩している。彼らはいつも政治に問題があったんだが、今は生活が通常になった。同じことが中国にも言える。中国も近い将来、先進国のレベルに達するかもしれないね。人は費やした金額だけ見返りを求めるものだが、たいていはそれなりの結果として返ってくるものだ。ソ連にしてもロシアにしても大きな国だ。今まで大きな大会で彼らがいなかったことがあったかい?いつもいたじゃないか。伝統的にもスポーツ大国なんだ。いつもロシアとアメリカが争っていたんだ。スポーツにはそれだけの意味合いがあることをロシアは潜在的に知っている。スポーツとは何なのかを。ゼニトが素晴らしいクラブなのをあなたは見たでしょ?ゼニトは今シーズン、最も危険な存在だと思う。自分の考え全てを選手に浸透させられる監督がいる。
--ゼニトがユーベとか強豪クラブを倒して上に行けますか?
・本来、サッカーに珍しいことは必要ないんだ。「強いチームが勝つ」多くの人はそれを望んでいるだろう。でも私は珍しいことが好きだよ。ビッグクラブは好きなだけ選手を揃えることができるけれども、それでは監督にとって努力をしたんだとは言えなくなってしまう。ゼニトは、アドフォカートという監督がそれを解決してると思う。私はゼニトが今シーズン、GLでユーベやレアルにも勝って欲しいと思っているよ。
--リバプールについて。リーグでは優勝できないが、CLでは上位に来ます。これはベニテスという監督の特徴なのか、それとも選手の特徴なのか
・両方あるだろう。リバプールはヨーロッパで最もトロフィーの多いチームだ。その一方でベニテスは非常に頭のいい監督で、多くのいい選手を連れてきた。ヨーロッパの戦いで、どのように戦うかをよく知っている。だから彼はある時期に、5、6人の素晴らしいFWを抱えていた。チームが持ちこたえるために選手を使い分けていた。だから彼はスペイン人FWを抱えたりして、毎試合、ターンオーバーをすることができたんだ。
・ファーガソンは問題が起こった時、ただ手をこまねいているような人間ではない。彼は常に成功を求めていて、現時点でうまく行かないとき、何をやればいいのか分かっている。それは新しい選手を連れてくることだ。国内リーグでもCLでも必要な時に同じポジションに何人も選手を揃えることができるんだ。ロナウドが怪我した場合、彼にはルーニーもいるしテベスもいる。全てを買うことができるんだ。その事に関して誰かがとやかく言うことじゃない。お金があるチームというのは物事をそうやって解決できるんだ。同じ事を繰り返していたらチーム力が維持できないことを彼は知っている。だからファーガソンは毎年のようにチームを新しくしているんだ。ファンも新戦力を獲得することを期待している。
--アーセナルについて
・アーセナルには哲学というものがあって、多くのトレーニングをこなしている。ベンゲルは自分のビジョンというものを持っていて、決して諦めない。常に美しいサッカーを追求している。そしてそのようにトレーニングしている。それがこのクラブの哲学なんだ。観客のために美しいサッカーをしながら、またプロフェッショナルとして、勝つサッカーをしている。何か問題があれば、彼らは全てトレーニングで解決してきた。ベンゲル監督の考えとビジョンにそったトレーニングが行われている。その全てを選手が受け入れてきた。そこでちょっとでも成功すればチームはフィットするものだ。つまりそれは現代的なチームだ。私が思うに、今のアーセナルはクライフの元で成功したバルセロナに似ている。なぜならクライフもいつも「美しいサッカーをしろ」と選手を駆りたてていたからだ。そうするために彼は練習方法を変えなくてはならなかった。トレーニングを根本から変えなければならなかった。選手達は求められるプレーをするように練習しなくてはならない。もちろん成功するのは幸運も必要だ。そうすれば何かしら前進したことが見えるはずだ。それと同じようなことをベンゲルはアーセナルで成し遂げた。いっそ彼の名前をとってアルセーヌ・アーセナルにしたらどうかね?
--チェルシーのフェリペ監督について
・2試合ほど見たんだが、昨シーズンとは違うプレーをしていたね。よりパスを出そうとしているし、より危険な存在になっている。全員がピッチの球際に強いのはチェルシーはいい選手がいるからだとみなさんは誤解しているかもしれないが、いい選手というのはサッカーのやり方を知っていて自由を与えられた時にも常にボールを動かしている。かつてはロングボールに頼っていたが、今はボールを動かしている。つまり全てが可能なんだ。フェリペは変革をして選手の頭を切り換えさせた。戦術的にも技術的にも最高の選手が揃っているときに、選手に自由を与えてうまくいくのなら、相手チームにとってこんなに脅威なことはない。
--どこが優勝すると思いますか?
・それを知っているなら病院にはいないよ(笑)。どこに優勝して欲しいと聞かれれば「ゼニト」と答える。速くて現代的なサッカーをしようとしている。ゼニトは一服の清涼剤のようだ。暑い日にレモンを入れた水のようなものだ。それがゼニトだ。それに加えてセンクトペテルブルクはヨーロッパで最も美しい街だ。機会があればぜひ訪れて欲しい。
--日本代表について
・日本代表監督の時、選手やコーチによくこう言っていた「その時点で最も自分が良いと思うことを自由にやりなさい」と。つまり「何が最高であるかを自分で考える」ようにし向けたんだ。しかし、それだけ自由になることになれていなかったので全く頭が働かなかった。問題は日本人が自分で考えようとするときに、あまりにも「情報を集めよう」としすぎることだ。バーレーン戦ではいろいろあったようだが、日本人は実力があることをもっと自分自身が知らなければならない。日本はアジアのどのチームよりも優れていると考えた方がいいだろう。あまりにも敵を恐れているんじゃないか。日本が誰かを恐れている状況になる必要はないんだ。とりわけ監督はそうだ。やってきたことを信じなければならない。日本はサッカーでは大国とは言えないかもしれない。しかし、どこが相手でも対抗できる。
・日本の人たちはいつも気にかけてくれているが、私のことは心配しなくてもいい(笑)。自分のことだけを心配してくれ(笑)

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