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2007年6月 1日 (金)

モンテネグロ戦後 オシム監督会見2007年06月01日

質問をどうぞ。
――テレビでのインタビューでは、「いいプレーをする時間帯もあったが、個人プレーに走る、不満がある」とおっしゃっていた。監督の望むサッカーが90分間できていないのか?
 選手たちは、私が何を望んでいるのか完全には理解していないので、常に私が望むようなプレーができているわけではない。しかし、それは偶然の結果ではない。そのためには、細かいことだがたくさんの事柄を修正しなければならない。こういう試合では、良い点もあるが、それについて話すよりは、今後何を修正すべきか、悪かった点を話す方が将来のためになる。そういうことが、たくさんあったから私は満足することができない。例えば個人的な目的によるプレー、ミスをしないように安全策をとったプレー、試合の中で自分だけが目立とうというような個人プレー、さまざまなことがある。もちろんミスはたくさんあったし、ラッキーな面もあった。客観的に見て、モンテネグロにもチャンスがあった。PKもあったが、彼らはそれを得点にはつなげることができなかった。軽率な時間があったことへの罰を、本来ならPKによって与えられるべきだったかもしれない。モンテネグロのPKは、難しいプレーから生まれた。しかしそれについての細かい話は、皆さんにではなく選手に直接話す。そうした問題を除けば、内容は悪くなかった。勝ったという結果どおりの内容だった。
ひとつ気になるのが、終了間際で苦しんだこと。相手は焦らず、落ち着いていた。フレッシュな選手を次々に投入してきた。そして中盤の構成力を高めて勝負をかけてきた。幸い、われわれのゴールの近くではなかったが、彼らが中盤を支配して、1対1の勝負でほとんど向こうが勝っていた。私にとってモンテネグロはなじみのある国だから、モンテネグロという日本人にとって存在していることも知らないような国が、技術の高い選手をそろえているところを目の当たりにできたことは、うれしく思う。彼らはもう少し効率的なプレーができる。気持ちが強すぎたのだと思う。ある程度、時間が経過すれば、何試合か重ねることによって経験も備わって、いいチームになると思う。あらかじめモンテネグロの記者のためにも申し上げておく。
――個人プレーということだが、個人でドリブルで勝負するときは、そうすべきだと思うか?
そうしてもいいのだが、タイミング、時間帯、そして目的がよくなかったのだ。タイミングが選手のプライベートな要因で決められたことがあった。チームとして前進している時間帯に、チームのためでなく個人のためにボールを使う。例えばシュートして得点する、あるいはナイスパスを出す、あるいは競技場の大画面に自分がアップで映りたいとか、あるいは試合後に自分のユニホームを振り回しながら競技場を一周するとか――。それもサッカーの一部ではあるのだが、そういうことはチームのためにならないと選手には伝えてきた。人気取りの競争では、選手の方が私より勝つだろう。日本はスター選手、個人で目立つ選手が人気を集める国だから。しかし、それではサッカーは前進しない。個人プレーをうまくできるのがスター選手。まあ、私も好きなのだが(笑)。しかし、そこで試合に負けて、私のクビが飛んでしまっては、どうしようもない。
――今日のスタメンは望みどおりのものだったのか(モンテネグロ人記者)
何人かの重要な選手を使うことができなかった。1人は左利きの選手、もう1人はモンテネグロの3番(ヨバノビッチ)を抑えられるポジションの選手。それからサイドの選手も、けがのために使うことができなかった。タッチラインを1人でカバーできて、何度も往復できる選手。そういうエネルギーとスピードのある選手が、本来はいるのだが使えなかった。2人の選手を並べなければならなかった。そこでのコンビネーションが、攻撃で良くても守備では駄目、あるいは逆に守備は良くても攻撃は駄目。また、将来的には2ボランチのところを1人で任せたいのだが、そういう選手がいない。つまり守備もできるが、そこから攻撃の起点となるような、クリエーティブなプレーができるような選手を探しているところだ。
――個人プレーについて、今年になって増えたように思うが、それはなぜか?
それは今年になって始まったことではない。そういうことが今後起こらないように、選手には言わないといけない。つまり症状が起こってから治すよりも、予防した方がよい。まだ治療できる範囲だと思うから、口に出して言っている。例えば中村憲剛、彼のようなレベルのクオリティーの選手であれば、ゴールのはるか上にシュートするはずがない。しかもシュートするタイミングの時に、彼の近くにフリーの選手がいたのに、シュートして外した。状況によって違うプレーができるかどうか。例えばモンテネグロの方が1-0でリードしている状況で、同じプレーをするのか。得点を挙げれば、明日の新聞の一面を飾る、あるいはニュースで大きく取り上げる、そういうことが頭にあったのかもしれない。「彼のプレーが試合を決めた」、そういう見出しだ。そういうことで、サッカー選手をやっているのかもしれない。選手の側にそういう野心があれば、皆さんがそれをかき立てるわけだ。だから、それをうまくチームのためにプレーさせるというのは、簡単なことではない。
勝った試合ではあるが、良かったことより悪かったことについて、より費やすことが明日のためになると思う。例えばパスミス、スキルの低さ、パスのタイミングが悪いこと、手間を掛けすぎること、ボールが私物であるかのように長い間キープしようとすること、などなど……。それらを直さないと、もっと良いチームにはならない。「今日は勝った、おめでとう」というのはお世辞にしか聞こえない。別に対戦相手が、私が昔住んでいた国の一部だったから言うのではない。つまりバルカンの習慣だが、相手を褒めて、実は自分を褒めるという表現なのだ。だから、私とこれ以上話しても時間の無駄だ。

――ワンタッチプレーでリズムを作るのが日本の良さだと思うが、それができなかったのはどこに原因があると考えるか?

 それで何が聞きたいのか? 相手がいるのだ。自分たちだけでプレーしているのではない。相手がいる中で、それをやらなければならない。日本は原則として、なるべく早いプレーを心掛けている。これは日本だけではなく、良いサッカーをするチームはプレーが早い。早いサッカーは、私の発明品ではない。単純な、早いプレーを要求しているのは私だけではない。ご覧のとおりのプレーしかできなかった。

――では今日の試合については、相手の守備が良いプレーをさせなかったと考えるのか

 モンテネグロ側のプレーで、それができなかったわけではない。簡単にできた時間帯もあったが、そうではない時間帯もあった。だから問題はより深刻なのだ。選手によって、理解、あるいはスタイルに違いがあるのが問題だった。あるグループの選手は、あまりにも単純なワンタッチのプレーをする。あるグループの選手は、自分本位のプレーをする。3つのグループの選手が混じっていた。それが何分でのどういうプレーだったか、10個以上挙げることはできる。しかし私がここでそれを言うと、選手たちはその記事を読むだろう。勝った試合だから、あまり選手たちのことを悪くは言いたくない。だから負けたときには、もっと率直に言う機会があるかもしれない。勝ったのに水を差すような、今日のような時ではなく、負けるのを待つというか、その時に率直にお話しようと思う。それほど遠い将来ではないと思うが。
――楢崎を使ったが、その評価は? また中村俊輔は埼玉で出られる状態にあるのか?
後の質問から答えよう。出てほしいが、私は医者ではない。きちんと準備ができたときにプレーしてもらいたい。つまり100パーセントの状態でプレーしてほしいのだ。ピッチの上に立つだけでは、彼にとっても、マスコミや観客の皆さんにとっても、よくないと思う。100パーセント、フルに戦う選手を使う。それでも中村俊輔は、非常に優れたスター選手だから、彼がつまらないプレーをするのであっても出場すれば、さらに1万5000人も観客が増えるのであれば、出す価値はあるのかもしれない。政府がそういう政策を取っているなら、それも悪くない。毎日テレビのニュースを見ていると、中村俊輔がひとつのニュースで3点くらい入れるわけだ。私は日本に4年ほど住んでいるが、約1500日、1日に3ゴール見ているとすると、5000点近くのゴールを挙げていることになる。それは、私が生涯見たゴール数よりも多い。そんなにゴールを挙げている選手が、今日の試合に出場していないのか、事情を知らない人は不思議に思うかもしれない。
楢崎については、本当のことを話さないといけないか。私には一緒に仕事をしている、信頼できる協力者がいる。その協力者と一緒に仕事ができるかどうか、意見を受け入れられなかったら、彼が残るか、私が残るか、そういうことも考えないといけない。共有した考えは、川口だけでなく、もう1人守ることのできるGKを探そうではないか、ということだ。つまりそれはアジアカップのためであり、それから日本代表の将来のためである。川口は良いGKだが、永遠に守れるわけではない。川口はレギュラーではないという話ではない。むしろ反対で、川口が使えるのは分かっているから、もう1人オプションが欲しいということ。彼が故障して、グループリーグで出場できなくなったらどうするのか。だから今日は楢崎を試した。川口は次の試合に先発する。GKはエゴイストが多い。自己愛が強い。だから川口がどういうリアクションをするのか観察していたのだが、彼は非常に立派な反応だった。試合前に(モンテネグロ戦のベンチ外を)通告した。試合前に話すことが大事なのだ。試合後だと、出場したGKのプレーによって、言うことが変わるから。
今日の試合だけで判断できるとすれば、川口以外にも信頼できる、経験のあるしっかりしたGKが日本代表に加わったと言えるかもしれない。これに若いGKも加えて、GKのチームを作ることができる。そういう考えで決断して、今日は楢崎を先発させた。負けていれば、考えも変わったかもしれない。だが頻繁に代えるほど、良いGKが見つかるというわけでもない。
――勝利したのだから、少しはにこやかに話してもよいのでは?
(わざと深刻な顔をして見せて、会場が笑いに包まれる)
――水野を入れたときに、相当長い指示をしていた。どういう指示をしたのか
私は水野だけでなく、交代選手にはかなり細かい指示を与えている。個人的に考えるのだが、日本代表のフルメンバーとしては、まだ彼は子供だ。才能には恵まれているし、アイデアも溢れるほどある。ただし、そのアイデアに自分がとらわれてしまう。そこで例え話だが、そこに牛がいる。ミルクが100リットル必要だ。そこで乳搾りをすればいいのに、牛にボールをぶつけてしまう。つまり、そんなことをしてもミルクが得られるわけがない。牛を見つける仕事までして、そこで成果を台無しにしてしまう。彼には、効果的なプレーをしろと。つまりサッカーのプレーをしているというよりも、ボール遊びが好きな選手だから、そういう選手がプロとして、職業としてサッカーをしている選手と混じって出場するわけだ。何に気をつけるべきか、指示したことについては、これ以上話すことはないだろう。彼の才能を、チームのために使わないのはもったいない。それくらいの才能を持っている。ただしその才能が、潜在的な才能で終わってはいけないと思う。
(そろそろ時間ですので、というプレスオフィサーの言葉に)
居眠りされている方もいるのでは? ブラジルに勝ったわけではないのに、こんなに長くしゃべるとは思わなかった(苦笑)。

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